埼玉県横瀬町 タテノイト
2年生、3歳
2週間
私たちは神奈川県に住む6人家族です。中学生の長女と夫は自宅に残り、2025年11月に私とこども3人で初めてとなる埼玉県横瀬町「タテノイト」で保育園留学と小学生留学に参加してきました。
島留学を探していた際に、偶然見つけたのが保育園留学のサイトでした。短期間から参加でき、兄弟で一緒に体験できる点に惹かれた一方で、仕事の休みが取りづらいこともあり、すぐに決断することはできませんでした。制度を知ってから実際に申し込むまでには、1年以上悩んだと思います。
それでも今回参加を決めたのは、小学生の兄がまだ低学年のうちに体験させたいという思いが強くなったからです。高学年になると学校を休むことや本人の意思も大きくなり、行けなくなるかもしれない。そう思うと、「今しかない」と感じました。

留学先を選ぶ際は、中学生の娘を自宅に残しての参加だったため、何かあった時に帰りやすい距離であることを大切にしました。また、「タテノイト」の学びのスタイル、自然の中で過ごせる環境、そして共同生活を選べることにも魅力を感じました。子育ては家族だけで完結するものではなく、周りの人の力を借りながら育っていくことを、こどもにも知ってほしいと思ったからです。
当日は夫が運転する車で向かいました。現地では、宿や役場の方がチャイルドシート付きの車を用意してくださり、到着後すぐに使えたことがとてもありがたく、安心して現地での滞在を始めることができました。
登園初日、保育園に通う子は少し緊張した表情を見せながらも、自分から「ばいばーい」と手を振って先生のもとへ向かいました。迎えに行くと、いつもと変わらない笑顔で遊んでいて、その切り替えの早さに驚かされました。
小学生の兄は、緊張からか少しそわそわした様子でしたが、分からないことや疑問に思ったことを自分から先生に聞き、周りの子たちとも少しずつ会話を重ねていました。環境が変わっても、自分なりに考えて行動しようとする姿に、成長を感じた瞬間でした。
保育園では、絵本や折り紙、電車ごっこといった、こどもたちの「やりたい」から生まれる遊びが日常的に行われていました。特に印象的だったのは、他の子が「やりたい」と言い出した遊びを、みんなで形にしていく姿です。

外遊びでは、川や山、焚き火、落ち葉遊び、おにごっこ、ザリガニ釣りなど、自然の中で思いきり体を動かす時間がたっぷりありました。虫が大好きな我が子にとっては、まさに夢のような環境だったと思います。

園庭にいる烏骨鶏や鶏のお世話も積極的に行い、「何を食べるの?」「いつ卵を産むの?」と、日々の関わりの中で自然と知識が増えていく様子が印象的でした。

一日の様子は、LINEで写真とメッセージ付きで共有していただき、普段使い慣れているツールだったこともあり、安心して様子を見守ることができました。
小学生の兄は、「集中の時間」には自分で持参したドリルに取り組んだり、気になったことを調べて深めたりしていました。「探求の時間」では、学年を超えて集まり、「何を知りたいか」「何をやりたいか」を話し合いながら活動が進んでいきます。

クッキー作りやクサギを使った草木染め、小学生と幼稚園児合同での昼食作りなど、年齢の枠を超えた関わりも多く見られました。

金曜日の昼食作りでは、材料を一人ひとり持ち寄り、話し合いながら進めていく姿に、この場所ならではの学びを感じました。


放課後には、近くに住む公立小中学校のこどもたちが集まり、一緒に遊ぶ時間もありました。学校だけでなく、生活の中で自然に仲間が増えていく環境は、親としてもとてもありがたかったです。

滞在先は、ゲストハウスの「Lab横瀬」にお世話になりました。共同生活の中で、作ったものをシェアしたり、一緒に食事をしたり、将棋やボードゲームで遊んだりと、人との距離が自然と近づく時間もあり、基本的に快適に過ごすことができました。宿の方の中には、ボードゲームを開発・普及されている方もいて、おもちゃ売り場以上に種類が豊富だったのも印象的です。

また、付き添いで来ていた赤ちゃんが夜に頭を打ち、救急病院に行く必要があった際には、上の子を預かっていただくなど、本当に助けられました。暮らしの中で支え合える環境があることの心強さを、身をもって感じました。
食事はほぼ自炊で、朝はこどもたちのお弁当も作りました。冷蔵庫や炊飯器が複数台あり、調理器具や食器も充実していて、とても使いやすかったです。
名物の味噌ポテトに家族でハマったり、宿を通して知り合った方が作ってくださった料理をいただいたり、高校生が手料理を振る舞ってくれたりと、食卓も自然とにぎやかになっていきました。


宿がまちのコミュニティ施設も兼ねていたこともあり、地域の方やさまざまな立場の人と出会い、交流することができました。放課後には、地域のこどもたちが集まって遊ぶ場所にもなっていて、そこから新しいつながりが生まれていきました。

施設の2階には乳幼児向けのキッズスペースがあり、毎週水曜日には子育てサロンも開催されていました。一番下の子を連れて参加しましたが、木のおもちゃもあり、乳児でも安心して過ごせる環境でした。

食事は基本的に自炊をしましたが、「らぁ麺 大金星」や地元の方に教えていただいた秩父駅付近にあるアイスクリーム屋さん「サン・ドルチェ」など現地での食事も楽しみました。
週末には、自然の中を散策したり、銭湯やふれあい牧場に出かけたり、地域のお祭り「ろっく横瀬まつり」にも参加しました。ダンボール迷路作りや演奏、郷土食づくりなど、こどもたちが主体となって楽しめる場が用意されていて、地域全体でこどもを見守っている空気を感じました。

帰宅後も、こどもたちは「あのお家に早く帰りたい」「みんなに会いたい」と、何度もこの場所の話をしています。自然の中で過ごすことで、こども本来が持っている探究心や「やってみたい」という気持ちが、そのまま活動につながっていたことが、何より印象的でした。
旅行ではなく、「暮らし」として過ごしたからこそ、出会えた人や地域が、第二のふるさとのように感じられるのだと思います。「また来るね」「また来てね」と言い合える場所ができたことは、短い期間だったからこそ、より大切なものになりました。

環境や世界が変わることで、今まで当たり前だと思っていたことが当たり前ではなくなる。大人もこどもも、新しい視点を持つきっかけが、この体験には詰まっていると感じています。迷っている方がいたら、ぜひ一歩踏み出してみてほしい。そう心から思える時間でした。
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