熊本県苓北町 志岐保育園
5歳
1週間
私たちは、埼玉県に住む3人家族です。今回は年長の息子と一緒に、熊本県苓北町の「志岐保育園」で初めてとなる保育園留学を体験しました。
保育園留学を知ったのは、息子が3歳くらいの頃でした。こどもは普段とはまったく違う地域の保育園で新しい経験ができ、親はワーケーションをしながら知らない土地での暮らしを楽しめる。旅をしながら子育てしたいという思いを叶えてくれる、素敵なサービスだと感じました。
一方で、息子が新しい環境に馴染めるか、いつ参加するのがよいかと迷いながら、約2年。年長さんになり、夏休みを迎えた今年、「夏を楽しむ保育園留学はこれが最後かもしれない」と思い、参加を決めました。

私たち夫婦は、旅行先でも予定を詰め込まず、「何もしない」時間を楽しむことがあります。今回も地域に馴染むように暮らしてみたいと思い、自然豊かな熊本県苓北町を留学先に選びました。
成田空港から福岡空港を経由し、天草空港へ。息子は、イルカがモチーフの天草エアラインの小さな飛行機に興味津々でした。左のエンジンのイルカには「はるちゃん」という名前がついているそうで、離陸時には「はるちゃん、がんばれ!」と応援。約30分の空の旅も、親子の楽しい思い出になりました。
耳を澄ませば波の音が聞こえ、顔を上げれば広い青空が広がる。探さなくても大きな虫に出会い、地域の方の笑顔に触れられる。そんな苓北町の日常を息子と一緒に楽しみ、夏の思い出にできたら。そんな期待を胸に、親子の保育園留学がスタートしました。

登園初日、息子はわくわくと緊張が入り混じった、笑っているような照れているような表情で先生方にご挨拶しました。
ところが、先生方がとてもフレンドリーに迎えてくださったおかげで、私が保育園の説明を受けている間に、息子はあっという間にホールへ。初めての場所でも、自然と遊びに向かっていく姿にほっとしました。
今回は母と息子の二人旅だったので、パパに会いたくなってしまわないかという心配もありましたが、そんな不安を感じさせないほど、息子は新しい環境での生活を楽しんでいたようです。

普段通っている幼稚園は、朝からカリキュラムがたくさん詰まっていて、楽しくも忙しい毎日。今回の留学では、そんな日常から少し離れ、自由に遊ぶ時間を思いきり楽しんでほしいと思っていました。
外遊びでは、園庭での水遊びや泥遊び、海遊びなど、水に触れて遊ぶ時間がたっぷり。海遊びは、宿泊先の四季咲館からすぐの富岡海水浴場で行われていました。ホテルの部屋からも、こどもたちが遊んでいる様子が見えるほどの近さです。
なかでも印象に残っているのが、お茶の時間。息子にとって、抹茶を点てるのはもちろん、抹茶そのものも初めての経験でした。
帰ってきた息子に感想を聞くと、「ちょっと苦くて嫌だった!」と楽しそうに報告してくれました。初めての味に挑戦したことも、きっとよい経験になったのだと思います。

毎日の園での様子はLINEで報告していただきました。長文の細やかな報告に、写真も多い日には30枚ほど。息子が中心に写った写真をたくさん送ってくださり、園でどんなふうに過ごしているのかがよく伝わってきました。
夫はもちろん、祖父母にもすぐに共有でき、家族みんなで息子の様子を楽しめたのも嬉しかったことのひとつです。お迎えの際にも先生方からその日の出来事を詳しく聞くことができ、安心して過ごせました。
最終日には、年長さんだけで富岡海水浴場へ。ホテルの窓から様子を見ていると、息子が私を見つけたようで、「ママいた〜!!!」という声が聞こえてきました。園児みんなから「行ってきます」の挨拶を受け、思わず笑顔に。お友達と一緒に海に入った息子は、届いた写真の中でもひときわ輝く笑顔を見せていました。


そして帰り際、先生から聞いたお友達とのエピソード。1週間ありがとうの挨拶をしたとき、そのお友達から「ぜったいおれのことわすれんなよ!」と声をかけられたそうです。たった1週間でも、こんなに熱い友情が生まれるのだと、胸がいっぱいになりました。

滞在先の四季咲館では、とても快適に過ごすことができました。困ったことがあった際にも、スタッフの方が迅速に対応してくださり、安心して滞在できました。息子にも気さくに話しかけてくださり、朝食会場のスタッフさんからは、外にバナナがなっていることを教えていただいたことも。初めて見る野生のバナナに、親子で感動しました。
息子が保育園に通う9時から17時までは、宿でリモートワーク。Wi-Fiも問題なく、オンライン会議もスムーズでした。
ローテーブルで仕事をしながら窓の外を見ると、青空ときれいな海が広がっています。窓を開ければ、波の音と蝉の声が聞こえてくる。仕事をしている時間さえも、夏を感じられる最高の環境でした。

簡易キッチンもあり、食事の8割ほどは自炊で過ごしました。本格的な調理はせず、地域で獲れたお刺身や果物など、すぐに食べられる食材を買って、手軽に楽しみました。
アタックスやフレンドショップたかはしで買い物をし、地域のスーパーを見て回る時間も楽しみました。
鮮やかな魚が丸ごと1尾で売られていたり、タコがそのまま並んでいたり。息子にとっては驚きの連続だったようです。納豆ひとつとっても普段とは味が違い、地域の食に触れることも新鮮な経験になりました。
外食で特に気に入ったのは「いこい食堂」です。店内はどこか懐かしい雰囲気の小さな定食屋さん。おすすめを聞いて、ちゃんぽんをいただきました。キャベツの甘みを感じるちゃんぽんは初めてで、とてもおいしかったです。食事を終えて店を出ると、目の前には青い海が広がっていました。
保育園から帰ると、その足でホテルの目の前の海へ。石の階段にたくさんいるハンミョウを眺めたり、砂浜のカニを追いかけたり、海の中に魚を探したり。駐車場にいる猫と触れ合うこともありました。特別な予定を立てなくても、目の前には遊びの種がたくさんあります。毎日くたくたになるまで、親子で自然を満喫しました。

帰りの飛行機に乗る前には、イルカウォッチングにも出かけました。鮮やかなブルーの海に何十匹ものイルカが現れると、息子は大興奮。少しやんちゃに泳ぐイルカから水をかけられ、嬉しそうにしていました。最後まで天草の自然を楽しみ尽くした時間でした。
今回の保育園留学を通して、私たちは「息子が息子らしくいられる場所」を見つけることができました。
何かを用意してもらう遊びだけではなく、自分の発想で自由に遊ぶ。その中から、自分にとっての楽しさを見つけていく。先生方が息子を温かく受け入れ、自由に過ごすことを肯定してくださった5日間は、間違いなくきらきらと輝いていました。
帰宅してからも、息子は「また天草行きたいなぁ」「また志岐保育園いきたいなぁ」「また天草の海いきたいなぁ」と、たびたび口にします。「何が楽しかったの?」と聞くと、返ってくる答えは決まって「全部!!」。
何かひとつの出来事というよりも、天草で過ごした日々そのものが、息子にとって素敵な思い出になったのだと思います。その言葉を聞くたびに、参加してよかったとしみじみ感じます。
次に訪れるときは、「初めまして」ではなく「ただいま」と言って帰ってきたい。そう思える場所に出会えたことが、今回の保育園留学で得た何よりの宝物です。

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