三重県大台町 大台町立宮川保育園
5歳
1週間
私たちは兵庫県に住む4人家族です。今回、三重県大台町で初めてとなる保育園留学を体験しました。
保育園留学を知ったきっかけは、非認知能力を育む教育について調べていたことでした。初めてサービスを知ったときは、「今話題の非認知能力を高める体験を、親子で気軽に経験できそうで面白そう」と感じたのを覚えています。
ただ、在園している園の行事との兼ね合いもあり、参加を決めるまでには約3か月ほど悩みました。年度初めの行事がひと段落し、生活が落ち着く時期だったことに加え、0歳のきょうだいを連れて行くことを考えても気候の良いタイミングだったため、この時期の留学を決めました。
留学先を選んだ理由は、小規模園であること、自宅から3時間以内で行けること、そしてホテルステイができることでした。
今回の留学では、息子に初めて出会う人たちと関わりながら人間関係を築く経験や、自然体験、新しい環境への挑戦を通して成功体験を積んでほしいと思っていました。一方で、人見知りな息子が馴染めるのか、母ひとりでこどもたちをしっかりフォローできるのかという不安もありました。
そんな期待と不安を胸に、自家用車で現地へ向かい、母子での保育園留学がスタートしました。
その不安は、初日の朝から現実のものとなりました。
息子は起きた瞬間から「行きたくない」と言い、園に着いても車から降りようとしませんでした。教室へ入るまでにはたくさんの葛藤があったようで、見守る私自身も複雑な気持ちになりました。
そんな息子に寄り添ってくださったのが園長先生でした。「特別だよ」と優しく声をかけながら抱っこしてくださり、安心させてくれたのです。その姿を見て、親としても肩の力が抜け、「この園なら大丈夫かもしれない」と感じたことを今でもよく覚えています。

園では、クラス全員で取り組む大きな制作から個人の絵画制作まで、さまざまな活動が行われていました。外遊びでは木登りや氷鬼を楽しみ、自然の中でのびのびと過ごしていたようです。
特に印象に残っているのは筍掘りでした。みんなで筍掘りを体験し、掘った筍をどうやって食べるか話し合い、実際にみんなで食べたそうです。自然と食、人との関わりがひとつにつながる素敵な体験だったと感じました。

園での様子はアプリを通じて毎日知ることができ、離れている時間も安心して過ごすことができました。
そして4日目。担任の先生が息子に「明日で終わりやし抱っこしとく?」と声をかけてくださった時に、息子は「おんぶがいい」と甘えていたとのこと。普段の息子からは想像できない姿に驚くと同時に、先生との間にしっかりと信頼関係が築かれていたことを感じ、とても嬉しくなりました。
最終日には、在籍している園のことを気にしながらも、「次は2週間プログラムで宮川保育園に行きたいな〜」と話していました。初日の姿を思うと信じられないほどの変化でした。
さらに帰る時には、クラスのお友だち全員が教室の外まで出てきてくれ、「バイバイ、また来てね」と息子の姿が見えなくなるまで追いかけながら見送ってくれました。その光景は、今でも家族みんなの心に残っています。
滞在先では快適に過ごすことができました。
宿の方は毎日「いってらっしゃい」「おかえりなさい」と声をかけてくださり、まるで親戚の家に滞在しているような温かさを感じました。
食事はほとんど自炊でした。レンジ調理器を持参し、毎日こどもと一緒に料理をしました。宿には電子レンジが常時2台設置されていたため、気兼ねなく利用できたのもありがたかったです。
近くの道の駅には何度も足を運び、地元の野菜を購入して食卓に並べました。生で食べたりレンジで調理したりしながら楽しみましたが、特産品のしいたけが特に美味しく印象に残っています。

地域の方々との交流も、この留学の大きな魅力でした。
送迎の際には、2日目から保護者の方々が気さくに声をかけてくださり、初めて訪れた土地とは思えないほど温かく迎えていただきました。
外食は初日に訪れた鶏のあみ焼き屋さんと、最終日に保育園の先生から教えていただいたラーメン屋さんに行きました。なかでも鶏のあみ焼き屋さんは料理がとても美味しく、店員さんも親切で、旅の良い思い出になりました。
登園後や週末には、道の駅でソフトクリームを食べたり、ツバメの巣を観察したりと、ゆったりとした時間を楽しみました。また、SUPにも挑戦しました。ちょうど藤の花が美しい季節で、水辺から眺める景色はとても印象的でした。

送迎中には何度も野生の猿を見かけたのですが、不思議とその瞬間だけ息子が気づかなかったり車に乗っていなかったりして、一度も見ることができませんでした。本人はとても悔しがっていたので、それもまた「次に来る理由」のひとつになっています。
今回の保育園留学は、息子にとっても私にとっても特別な1週間になりました。
すでに楽しく通っている園がある中で、新しい環境へ飛び込むことは決して簡単なことではありません。しかし、自然豊かな環境の中でのびのびと遊び、先生や友だちとの新しい関わり方に触れながら、息子は少しずつ環境に順応していきました。その過程で見せてくれた姿に、5歳なりの大きな成長を感じました。
また、この地域を訪れたいと思っています。今回、息子にとっては「不安だった場所」「勇気を出して頑張った場所」でした。だからこそ、再び訪れたときにどんな表情で過ごし、どんな変化を見せてくれるのかを見てみたいのです。
穏やかで安定したこの地域だからこそ、自分自身の成長や変化に気づける気がしています。そして次こそは、息子にも野生の猿を見せてあげたいと思っています。
保育園留学は、学年や時期、訪れる地域によって体験が大きく変わります。同じ留学は二つとしてありません。だからこそ面白く、親子それぞれに特別な物語が生まれるのだと思います。
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