熊本県苓北町 志岐保育園
5歳
1週間
私たちは福岡県に暮らす3人家族です。保育園留学は4回目になりますが、家族3人での参加は今回が初めて。2025年10月、5歳の息子とともに熊本県苓北町の志岐保育園で、1週間の保育園留学を体験してきました。

福岡の街中にある保育園に通う息子は、園庭が狭く、思いきり体を動かして遊べる機会が限られていました。
「自然の中で、もっとのびのび遊ばせたい」「地域の人とのふれあいを感じてほしい」——そんな思いから、今回は海と山の両方を楽しめる苓北町・志岐保育園を選びました。

福岡からのアクセスが良く、天草空港からもすぐ行ける点も大きな魅力。これまで留学先を選ぶたびに気になっていた苓北町。そして実は家族の“ちょっとした夢”だったのが、天草エアライン・みぞか号に乗ること。そのワクワク感も背中を押してくれました。
さらに今回は、「家族でゆっくり過ごす時間を作りたい」という思いから、思いきって夫にも4日間仕事を休んでもらい、家族で滞在することに。普段は忙しく、週に1度食卓を囲めるかどうかという生活だからこそ、この1週間がきっと特別な時間になる——そんな気持ちの中で4回目の保育園留学がスタートしました。

初日、緊張気味だった息子は、登園してすぐに自分の靴箱と名前が準備されているのを見て、表情がぱっと明るくなりました。
その名前を見つけた瞬間、「ここは自分の居場所なんだ」と感じたようで、胸の奥の不安がふっと溶けていくのが伝わってきました。

在園児のみんなも靴箱を見て「来るのを楽しみにしてたよ!」というように集まってきてくれて、私もその光景がとても嬉しかったです。
オンラインで事前にやりとりしていた先生方も、画面越しと変わらずニコニコと優しく迎えてくださり、「この園を選んで本当に良かった」と心から思いました。
そして何より忘れられないのが、初日の朝、私が道に迷ってしまった時。給食室の先生が車に同乗して案内してくださったことです。
そのさりげない優しさに触れた瞬間、志岐保育園だけでなく、苓北町全体の“人の温かさ”を感じました。

志岐保育園での1週間は、虫とりや磯遊び、収穫体験など、毎日が新しい発見にあふれていました。
なかでも大きな成長を感じたのが虫とりです。虫を見るのは平気でも、触るのはちょっと苦手だった息子。それが志岐保育園のお友達と過ごすうちに、自分から草むらに分け入り、なんと自分の手でバッタをつかまえられるようになりました。友達から「バッタ名人!」「バッタプロ!」と呼ばれて誇らしそうにしていた姿は、今でも目に浮かびます。

福岡に帰ってからも「ぼく、バッタプロになったんだよ」と嬉しそうに話してくれるほど、息子にとって大きな自信になったようです。夜、宿の窓越しにイモリを見つけて「つかまえてお家にいれたい!」と言い出した時は、虫が苦手な母としては頼もしくも少し複雑でした(笑)。
収穫体験では、お友達と力を合わせて大きな米ナスを「よいしょ!」と引き抜き、誇らしげに「ナスってこうなってるんだよ!」と教えてくれました。

磯遊びでは夢中でミナ(海岸の岩場、浅瀬で集めることの出来る貝)拾いをし、持ち帰った貝を夕食にリクエスト。自分で採ったからか、10個以上パクパク食べていて、その食べっぷりに思わず笑ってしまいました。

滞在中には前歯が抜けるという小さなサプライズも。担任の先生がかわいいイラスト入りの“おめでとうカード”をくださり、そのあたたかい気遣いが本当に嬉しかったです。
この件以外にも、志岐保育園の先生方はとてもあたたかく、園児一人ひとりに丁寧に向き合ってくださったのが印象的で、登園やお迎えの際の何気ない声かけにも、自然と心がほぐれる安心感がありました。

在園児の保護者の方が「本当にあたたかい園なんです」と話してくださった言葉どおり、息子だけでなく私自身も多くの温かさを受け取り、ここで過ごした時間そのものがご褒美のように感じられました。
滞在先は「あまくさ温泉ホテル四季咲館」で、海を身近に感じながら、ゆったりとした時間を過ごしました。

オーシャンビューの客室も落ち着いて過ごせましたが、特に印象的だったのは展望風呂からの景色です。海と空の色がゆっくりと変わっていく様子を眺めながら、子どもとその日あった出来事を話す時間は、とても幸せなひとときでした。

目の前に広がる海は全国でも選ばれるほど美しい場所とのことで、夕方に家族で散歩した時間も忘れられません。潮風や波の音を感じながら歩く時間は、天草ならではの魅力を感じられるものでした。
また、女将さんやフロントスタッフの方々の温かく細やかな接客も心に残っています。自然と人の温もりに包まれた、心地よい滞在でした。
今回の滞在は、家族にとって特別な時間でもありました。忙しい夫と息子が朝晩一緒に食卓を囲み、保育園で捕まえた虫の話を嬉しそうにする姿。宿の外で親子が虫とりを楽しむ様子は、日常ではなかなか見られない光景でした。

子どもが眠ったあとに「このまちの良さ」や「明日はどこでごはんを食べようか」などを話す時間もあり、久しぶりにゆっくり向き合える大切な夜となりました。
さらに今回は義両親も数日滞在し、苓北町や近隣の天草各地を満喫してとても満足していました。
苓北町は三世代でも楽しめる、魅力の詰まったまちだと実感しました。
苓北町では、どこへ行っても人の温かさに触れることができました。観光協会ではスタッフさんが親身になっておすすめのスポットを教えてくれ、旅の最初から心がほぐれるような気持ちに。
野生のイルカがすぐ目の前まで近づいてくれたイルカウォッチングでは、家族そろって思わず声をあげてしまうほどの感動を味わいました。

陶器のまちならではの絵付けも体験しました。筆を動かしながら窓の外に広がる夕焼けの海に思わず見とれてしまうほど。さらに少し足を延ばして訪れた﨑津や倉岳では、それぞれ違った海の表情に触れ、ただ眺めているだけで心が静かに整っていくのを感じました。


そして何より心に残ったのが、「志岐八幡宮の秋大祭」です。まち全体がひとつになり、子どもも大人も力を合わせて祭りを支えるあの一体感は、言葉にならないほど印象的でした。会場では何人もの方が「保育園留学の方ですか?」と声をかけてくださり、地域に自然に受け入れてもらえていることがとても嬉しく、「こんな場所で子育てができたらいいな」と心から思いました。

そして帰る日、普段はあまり執着を見せない息子が、ふと「お祭りのところで、みんなにバイバイしてない!」と言い、自分から挨拶しに行きたいと歩き出す姿に、本当に驚きました。それほど、この園で過ごした時間が息子にとって大切で、心に残るものになったのだと思います。

苓北町で過ごした1週間の滞在は、私たち家族にとって忘れられない時間になりました。
海と緑に囲まれたこのまちは、日常のあわただしさを少しだけ置いておけるような、そんな穏やかな空気が流れています。
天草空港から車で約30分。
海を眺めながらのドライブはあっという間で、目的地に着く前からもう癒されていました。
10月でも海は驚くほど透き通っていて、陽の光を受けてキラキラと輝いていました。
まちはコンパクトで暮らしやすく、スーパーやコンビニもすぐ近くに。
便利さがありながら、自然の豊かさもすぐそばにあって、おいしい魚や地元の食事、人のあたたかさ、そして海の景色——すべてが心に残りました。
志岐保育園でのあたたかな毎日、地域の方々との出会い、そして何より、息子が心から笑って過ごせたこと。
そのひとつひとつが、苓北町というまちの魅力を教えてくれました。
また季節を変えて訪れたい。
そしていつか——このまちを、第二のふるさとにさせてほしいなと心から思っています。

自宅に戻ってからも、志岐保育園で過ごした時間の余韻はずっと続いています。
ある夜、息子が突然「リコーダーがほしい」と言い出し、試しに購入してみたところ、私が笛を吹いているあいだに、息子は布をかぶって何やらモゾモゾと動いていました。
「持ち方ちがうよ、こうやって吹くんだよ!」と指摘されてハッとしたのですが——どうやら息子は、志岐八幡宮の獅子舞を思い出して踊っていたようなのです(笑)。
あの祭りで見た獅子舞の動きやお囃子の音色が、息子の心にしっかり刻まれていたのだと思います。福岡に戻っても、苓北町での経験が確かに息子の中に“生きている”。その姿を見た瞬間、親としては胸が熱くなり、思わず涙がこぼれそうになるほど感動しました。
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